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This is Football !

ドイツW杯準決勝、第一試合のドイツ対イタリアは、大方の予想どおり白熱した試合となり、延長戦終了間際にイタリアが劇的なゴールを決め勝利を挙げた。

イタリアはまずドイツに気持ちで負けてなかった。試合開始早々からアグレッシブな守備を仕掛けるイタリアを見て、これは凄まじい戦いになると予感した視聴者は多かっただろう。イタリアはボールを奪ってからの攻撃でも、サイドの選手が積極的に上がって行った為、それがドイツの波状攻撃をある程度封じ込めることに成功していた。

イタリアが、前線からの積極的なアプローチを仕掛け、攻撃に人数を比較的割くことが出来たのは、今大会も鉄壁の守備を誇る最終ラインと守護神ブッフォンに対しての、揺るぎない信頼があったからだろう。その信頼に応えるべく、カンナバロを中心としたイタリアDF陣は、ドイツ自慢のツートップをギリギリのところで封じ込めていた。

決定的なチャンスを作らせないという意味では、ドイツのDF陣もよく奮闘していた。裏のスペースを破られるよりは、注意深く自陣に退いて相手にスペースを与えないという、安定感のある守り方に徹したドイツの守備陣。グループリーグ初戦で喫した、高いDFラインの背後を突かれての2失点が、ドイツにとってはいい教訓になっているようだった。

しかし試合が終わって振り返ってみれば、「大会を通じたDF陣の安定感」という心理的要素が、勝敗を分けた要因の大きな一つになったのではないか、と僕は思う。イタリアのアグレッシブなチャレンジを前にして、ドイツが攻撃に際して効果的に人数をかけることが出来なかったのは、初戦の2失点に対する悪いイメージを、完全に払拭できなかったからではないだろうか。

それでもドイツは、6万人以上の大観衆の後押しを受けて果敢に反撃を試みた。イタリア優勢ではあったが、しかしいつドイツに点が入ってもおかしくはなかった。延長戦における両チームの攻防は、お互いに勝ちたいと思う気持ちが前面に出た、見ごたえのある撃ち合いとなった。

そして勝負は、PK戦突入間近のギリギリの時間帯であったにも関わらず、冷静さを微塵も失わなかったピルロのスルーパスによって決まった。決勝点を挙げたグロッソは豪州戦に続く快挙を成し遂げ、目に涙を浮かべて歓喜のランニング。それを見ていた僕は目頭がジーンと熱くなるのを感じた。僕にとってドイツW杯のベストゲームは、文句なしにこの一戦で決まりだ。イタリアもドイツも120分間本当によく戦った。This is Football ! これがフットボールだ。サッカーファンでいて良かったなぁと思える、至福の120分間を見せてくれた両チームに心から感謝したい。


by BlueInTheFace | 2006-07-07 01:27 | サッカー