人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日本対豪州を見て感じた「違和感」

W杯の各試合を心から楽しむために、そして日本代表を気持ちよく応援するために、昨日の豪州戦で感じた「違和感」を、敢えて文章にして表明しようと思います。それが結果的に、応援する日本代表や大好きな選手への批判ととられても構いません。もしかすると僕の見解は、世の中の一般的な論調とは的が外れているかもしれないけれど、この敗戦を一度自分の中で吹っ切りたいので、誤解を恐れずに、今現在感じていることを素直に表現したいと思います。(長いよ)

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆

試合終了後の選手やジーコ監督のインタビューで、皆が口々に「追加点を取れなかったのが敗因」だったと分析していた。僕はこのインタビューを聞いて小さな違和感を覚えたのだが、それが何処から来ているのかすぐには分からなかった。しかし1日経って少し冷静さを取り戻した今、その違和感の正体がおぼろげながら見えてきた気がする。

前半に運良く先行した日本は、後半になっても耐える時間が長かったが、それでも何とか試合を決定付けようと、数少ないカウンターのチャンスに賭けた。しかし昨日の記事でも書いたとおり、あれだけ低い位置からカウンターを何度も仕掛けるのは体力的に無理がある。ジーコはハーフタイムの指示で「リードしている時のサッカーをしよう」と言ったらしいが、昨日の日本が見せた「ベタ引きの守備→カウンター」の戦い方は、ジーコが意図する「リードしているチームのサッカー」とはかけ離れたものだった。

おそらくジーコの言う「リードしている時のサッカー」とは、自分たちでボールをキープし、体力勝負にならないようにワンタッチでボールを捌き、相手を走らせるサッカーの事だったと思う。つまり平たく言うと、就任以来ジーコが標榜してきた「ポゼッションサッカー」をやろうと言いたかったのだ。自分たちがボールをキープする事で、相手の攻撃の時間を奪うというやり方だ。

一点リードの局面でこの「ポゼッションサッカー」を展開する事ができれば、点が取れればよし、取れなくても時間が稼げ、少なくとも相手を走らせる事ができる。決して2点目をガムシャラに取りに行くことが目的ではない。しかし昨日は逆に日本が守備に負われ走らされてしまい、試合終盤にはもう攻撃どころかポゼッションの余力すら残っていなかった。

そこで小野の投入だ。ボールを捌くことに長けた小野が中盤に入ることで、選手ではなくボールを走らせることが出来るとジーコは踏んだのだろう。ジーコのこの決断が正しかったのかどうかは、僕にはわからない。しかし少なくともピッチ上の選手にジーコの意図が伝わらなかったのは明らかだ。選手たちはガムシャラに2点目を取りに行ってしまった。初戦の重圧から早く解放されたかったのかもしれない。結果的にジーコの決断は裏目に出てしまい、日本は屈辱的な3失点を喫することとなった。

ジーコを擁護するわけではないが、小野投入の選択自体は決して間違ってなかったと僕は思う(もちろん正解というわけでもない)。敗因は、監督と選手が勝利のヴィジョンを共有できていなかったことにある。W杯本番を迎える前に、そのヴィジョンをチームに植え付けることが出来なかったという点において、ジーコの責任は重い。僕は冗談抜きで、この日の日本代表には、点が取れれば儲けものくらいの感覚で後半を戦ってほしかった。

そもそもサッカーほど点が入りにくいスポーツはないのに、追加点が取れなかったことが敗因だと皆が口を揃えて言うのはおかしい(ジーコまでそう言うのはもっとおかしい!)。もちろん追加点が取れればそれが理想的で、戦い方の方向性はそれで間違っていないと思う。しかし同時に追加点が奪えない時の保険は常にかけておかなければならない。この日の攻撃陣の出来からすれば尚更だ。

点が取れそうもない時は、それなりの戦い方があるはず。現にイングランドやポルトガルやオランダは、前半に挙げた1点を兎にも角にも守りきっているではないか。彼らは経験上、サッカーが如何に点の取りづらいスポーツなのかを、如何に我慢が大切なのかを、骨身に染みて分かっているのだろう。彼らの戦いぶりから学ぶべきものは実に多いと思う。

だが日本はサッカー大国ではないから、それほど経験が蓄積されているわけではないから、とにかく今はジーコのやり方を信じて戦うしかない。テクニックに優れた中盤を活かしてのポゼッションサッカーがそれだ。そのやり方で準備してきたんだから、信じてやるしかない。僕たちサポーターが出来る事もそれしかない。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


書くだけ書いたらすっきりしました(笑)
さぁブラジル対クロアチアでも見よ♪


by BlueInTheFace | 2006-06-14 07:49 | サッカー