いよいよ明日から、一泊二日のサッカー大会。幸い朝起きたら背骨の痛みは8割方治まっていた。会社の健康診断も滞りなく済ませ(採決の看護士さんが綺麗な人だった)、仕事の方も万事順調に片付けた。そして会社の帰り道、景気付けにいつものラーメン屋「樹利」に立ち寄った。
僕は悩んだあげく、シンプルに餃子と炒飯を頼む。となりの30代4人組女性グループが、運ばれてきたラーメンを口にして「おいしーい」と声を挙げた。そのうちの一人が「あさりタンタン麺」を食べていて、それが無性に美味そうだったので、僕もそっちにすれば良かったと少し後悔した。
頼んだ餃子と炒飯が運ばれてくる頃、混み入った店内に老夫婦が入ってきた。二人とも髪は殆ど白髪で、上品なセーターを身に纏った、年の頃は60代後半から70くらいの、地元に住む常連さんに見えた。料理を注文し終えると、二人は時折オカミさんと世間話を交えながら、実に楽しそうに微笑みを浮かべて料理が出てくるのを待っていた。僕は熱々の餃子と炒飯に舌鼓をうちながら、おそらくは一緒になって40年程にもなるであろう、この老夫婦のストーリーを勝手に想い浮かべていた。
やがて老夫婦にラーメンが運ばれてくると、それまでの微笑みが一転、二人とも真摯な顔つきでラーメンを食べはじめた。二人の間に言葉は無かった。
見れば皆が一様に、美味しさを全身で表現していた。不満そうにしてる人を、僕は今まで一人も見たことが無い。僕はこの店にいる時、店内にいる皆の事を、本当に美味しいものを共有している「家族」のように感じてしまうことすらある。この老夫婦の幸せな時間を一緒に共有出来たような気がして、なんだか僕も幸せな気分に浸る事ができたのだった。
では、行ってきます。