人気ブログランキング | 話題のタグを見る

DJ:佐野元春 「TOYOTA radiofish」 最終回

Tokyo FMにて、毎週土曜日の20:00から放送されてた、DJ佐野元春による一時間の音楽番組「TOYOTA radiofish」が、3月26日(土)の放送をもって、約2年半に渡る放送期間を満了した。お疲れ様、MOTO!

最終回のこの日は、番組スタッフと、特にリスナーへの感謝に満ちた内容だった。またFM番組制作という現場に携わる佐野元春の、ミュージシャンとしての想いとプライドが感じられるトークもあった。そのトークを再現した以下の文を読んでもらいたい。

 ラジオがつまらない、だから殆んど聞かない。でも良い音楽に出会いたい。自分にピッタリの音楽番組がない。最近そんな声を良く聞きます。僕の眼で見ても、確かにラジオの魅力がなくなってきている。これは何故か。エア・プレイや選曲があまりに営業的すぎて、本格的な音楽リスナーがおざなりにされている。これまでは聴取率のいい番組が、いいラジオ番組とされてきました。しかしこれからは、そんな考え方も古くさくなるだろうと思います。

 今僕が注目しているのは「webcasting(ウェブキャスティング)」というスタイル。インターネットを使った放送という、新しいやり方に注目しています。「webcasting」の基本は、まず良い選曲と、信頼できるDJ。そして番組リスナーとの共感。音楽を通じた、良いコミュニティーを創ろう、というのが大事になってくると思います。

 では運営の方はどうするのかという問題。これまでの商業放送の場合は、企業のスポンサードで成り立っていましたけれども、この「webcasting」では、リスナーからのサポートによって、成り立たせようという、そんな考えです。そのリスナーからのサポートの中には義援金、いわゆる番組を運営していく為の資金協力も含まれています。いい音楽プログラムを配信するので、番組の運営を 一緒にやっていって欲しいという。ここに「リスナー・サポーテッド」という新しい考え方が生まれてきます。

 いろいろと制約の多かったこれまでの番組制作から離れて、これからは自由で独立した番組制作ができる時代になってきました。こうなってくると、これまでのFMステーションもうかうかしてはいられません。この新しい動きをただ見守るのか、それとも自分たちのビジネスとするのか。そこがポイントになってきます。

 僕はこれまでずっとFMの現場に関わってきたので、もちろんそのFMステーションを応援しつつ、同時に「webcasting」という、この新しいスタイルの可能性についても考えていきたいと思います。


MOTOは「本格的な音楽リスナーがおざなりにされている」現代の放送業界の中にあって、数少ない「信頼できるDJ」のうちの一人だった。そして今でも確固たる「番組リスナーとの共感」を維持し続けている。僕はこの番組を毎週欠かさず聴いていたわけではなかったが、時折耳にするMOTOのクールなDJと、確かな眼によって選りすぐられたグッド・ミュージックに、フッと心なごませ、また躍らされたものだった。その曲たちの名前を僕は殆んど忘れてしまったが、しばらくは番組HPに記録として残されているので参考にしたい。

いつだったかの放送で、「人は何故グッド・ミュージックを必要とするのか」との問いに、MOTOはこう答えた。「答えは簡単な事さ。マトモでいたいから。」さすがMOTO。まさにその通りだ。今までたくさんのグッド・ミュージックを僕たちに届けてくれて、どうもありがとう。今度は、新しいスタイルの放送でDJのMOTOに出会える日を、楽しみに待つとしよう。

by BlueInTheFace | 2005-03-27 22:48 | 映画・TVなど