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楽しかった町内会理事

僕が一昨年の四月から任されていた、町内会理事という仕事。その二年に渡る活動が、本日をもってようやく終了となった。理事という立派な肩書きをもらってはいるが、大した事はやっていない。それぞれの班の班長さんが、各世帯を回って町会費を集金し、それを理事である僕に届ける。僕はそれを地区部長のTさんに届けるだけ。つまり理事とは、班長さんと部長さんとの間に立つ、クッションの役割なのである。

大した仕事ではなかったものの、その仕事の大半はうちの嫁さんがやっていたわけだから、僕が偉そうに言える立場にはない。僕は時間に余裕がある時に手伝ったくらいだ。たまにしか仕事をしなかったからだと思うが、僕は理事の仕事をやるのが結構面白かった。その理由は、地区部長Tさん(女性:推定60歳前後)の素敵な人柄によるところが大きい(過去記事「全部聞こえてるよ」を参照)。

今日の夜9時半ごろ、二ヶ月分の町会費をTさん宅に届けに行った。もう夜も遅いかなと思って、届けにいく前に断りの電話を入れたのだが、Tさんは「いつでもいらっしゃい」と言ってくれたのだ。Tさんがドアを開け僕を玄関に招き入れる。家の中は薄暗く、どうやら家族の人は誰もいないようだ。僕とTさんは玄関で膝をつき合わせて座った。

Tさんは町会費の金額を確かめながら、「これで理事さんもお終いね、ごくろうさま」と僕を労ってくれた。いえいえ、地区部長を10年も務めているTさんの頑張りには遠く及びませんよ・・・。

色々話し込んだ後の別れ際、僕がTさんに電話を入れた事に対してTさんは、「夜遅くに若い男の人からの電話なんて滅多にないから、ちょっとドキドキしちゃった・・・」と言い、「まぁそれは冗談だけどね、 気をつけて帰ってね」と続けた。でも、彼女のそれが本当に冗談であったのか、正直僕にはよく分からなかったんだ。だから僕はさよならの代わりに、彼女をギュッと抱きしめ・・・る代わりに、色々とありがとうございましたと一礼したのだった。玄関の外は、冷たい空っ風が吹いていた。僕はこの二年間、彼女の苦労をやわらげるクッションとなり得たのだろうか。

さて、実は最後に理事としての大仕事が一つ残っている。それは次期の理事の選定と仕事の引き継ぎだ。これは想像するだけでも大変にやり甲斐のある仕事となるに違いない。もちろん、この件に関しては後にしっかりと記事に起こすつもりだ。