浦沢直樹と佐野元春と、CCR

浦沢直樹の『20世紀少年』の22巻をようやく読んだ。浦沢氏は相変わらず仕事が巧いなと感心しつつも、僕は作中のエピソードの一つを読んで懐かしさがこみ上げてくるのを感じていた。DJ「コンチ」が小学生の頃、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)というバンドの事をケンヂから教えてもらったという話だ。

b0011238_2225528.jpg僕も若い頃このCCRの曲にどっぷりと浸かっていた事があった。CCRの全盛期は1960年代後半〜70年代前半なので、僕が彼らの曲をリアルタイムで聞いた事はもちろん一度も無い。そんな僕がCCRを知るきっかけとなったのは、佐野元春の紹介によるもの。昔から佐野元春は、ライブ会場にて開場から開演の合間に流す音楽を自分で選んでいた。その中の一曲に、必ずCCRの超名曲『雨を見たかい』(原題『Have you ever seen the rain?』)が含まれていて、僕はそれを聞いているうちに、いつの間にかCCRの虜になってしまったのだ。(Amazonで試聴できます)

佐野元春と浦沢直樹の「ルーツ」はかなり似ていると僕は以前から思っていたのだが(過去記事「「プルートゥ」を読んで」を参照)、聴いて育った音楽についても二人の趣向はだいぶ近いような気がする。

ところで、先に紹介した『雨を見たかい』のサビ部分を日本語訳すると以下のようになる。

「俺は知りたくもない
 そんな雨を見たことがある奴のことなんて
 俺は知りたくもない
 そんな雨を見たことのある奴のことなんて
 晴れた日に降る雨のことなんて・・・」

この曲で歌われている「雨」というのは、「ナパーム弾」の事を指す。CCRのヴォーカルであるジョン・フォガティが、この曲の発売当時(1971年)に盛んだったベトナム戦争の被害者を想って創った曲であることは、我々にも容易に想像がつく。

この曲は、戦争反対という意志を明確にロジカルに表現しているのではなく、もっと感情のレベルで、我々の心のより深い部分をノックしようとしている。これと全く同じ表現方法を、浦沢氏も漫画を使って随所に用いているのは皆さんご存知の通りだ。『20世紀少年』でこの曲が採り上げられた背景には、漫画のストーリーとマッチしているという理由の他に、戦争の悲惨を嘆く強いメッセージと、物語を創作するにあたっての浦沢氏なりのこだわりが、見え隠れしているような気がしてならない。もちろんそれと同じ事が佐野元春にもあてはまっている。
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by BlueInTheFace | 2007-01-14 22:05 | 読書