アンバランス

昨日の夜8時頃のこと。

僕が駅のホームで電車を待っていたら、僕のほうに15~16歳くらいの女の子がつたつたと歩み寄ってきて、つたない日本語で「この電車は秋葉原まで行きますか?」と訪ねてきた。見た目は日本人と全く同じだったので、おそらく朝鮮人か中国人であろう。僕は最高の笑顔で「はい、行きますよ」親切丁寧な日本人を演じながら答えた。

彼女は小さめのキャリーバッグを携帯していて、そこには何やら見たことのある、紫色の髪をしたアニメの女の子のステッカーが貼ってあった。彼女はそのステッカーの女の子のように黒髪を両耳の下あたりで結び、細いふちのメガネをかけ、黒のスニーカー、紫のジーンズ、濃紺のジージャンといういでたちであった。そして、彼女の胸は見るからに巨乳なのであった。

外国人でアキバ系で巨乳という彼女のアンバランスな魅力に気が付いているのは、電車内で僕だけだった。秋葉原で何かイベントでもあるのか、彼女は座席に腰を落ち着かせながらも時間を気にしてそわそわするばかりであった。やがて電車が秋葉原に到着すると彼女は電車を降り、巨乳をゆさゆさと揺らしながらキャリーバッグを引きずって走っていった。


・・・僕は今、昨日と同じ時刻の電車に乗りながらこのテキストを書いている。彼女の姿をそれとなく探してみるものの、もちろん見つかるはずはなかった。僕は今後、秋葉原のネオンを見あげる度に、彼女の事を思い出さずにはいられなくなるのだろう。(完)

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