犬猫供養

b0011238_21523428.jpg東京都台東区の合羽〔かっぱ〕橋付近にある、本寛寺というお寺へお参りに行くことが、僕の実家では毎月の恒例行事になっていて、先週の日曜日、僕も久々に両親と伯母とともにそのお参りにお付き合いした。

我が家の本寛寺へのお参りの歴史は古く、それは僕が生まれる以前から続いている。一体いつから続いているのか、その正確な歴史を僕は両親から聞いていないのだが、おそらく僕の二世代前から継続されている行事だと思われる。

この寺の奥まった一角には、昔から(少なくとも僕が物心つく頃から)ペットを供養する為の墓があって、お参りに来た際には必ずこの墓にも線香をあげ、手を合わせている。僕が4歳の時まで家族の一員として一緒に暮らしていた、愛犬テツを供養するための儀式だ。

b0011238_22112085.jpg僕が4歳だった当時、我が家は引越しをした。僕たち家族とテツは、引越しの荷物と一緒に軽トラックで新居にやってきた。そしてドアを開けトラックを降りたとき、テツは、今まで住んでいた場所の方角へ一目散に走りだしたのだった。そしてそれ以来二度とテツの姿を見ることはなかった・・・。

これが僕の中に残るテツの最後の記憶。しかし実は、この記憶が果たして本当に真実の出来事だったのかどうか、僕は疑っている。この記憶は、幼い頃僕が夢か何かで見たものを、事実であると誤認したまま現在にまで至っているのではないかと疑っているのだ。

なぜなら、家族の誰もが、引っ越してきたあの時のことを話題にもしようとしないからだ。僕がそのことについて話していても、適当に話を濁されてしまう。そして、これからもペットは絶対に飼わないと言い張る。今、僕はこう想像している。当時両親は、何か止むに止まれず事情でテツを飼い続けることが難しくなり、僕には内緒でテツを施設にあずけてしまったのではないかと。

真実がどうであれ、あれから30年が経った今、テツがどこかで生きている可能性はもうどこにも無い。僕たちは、テツが安らかな永眠を迎えたであろうことを、祈り続けることしかできない。

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