佐野元春×中村一義(2)

中村君のアルバムの話が、いつの間にかグッド・ミュージックの話になってしまった前回に引き続き、今回も「ROCKIN'ON JAPAN」紙上における佐野元春と中村一義の対談からいくつか抜粋してお届けしたい。まずは、「想像力」の話。

佐野:「僕はやっぱりマジックは信じたい。だからテレビでマジックショウとか観てると、ドキドキしちゃうよ。きっとタネはあるんだろうけどもさ。それで最近はさ、そのタネをバラしたりするじゃない。あれやめてほしいんだよ」
中村:「はははは」
佐野:「わかってるよ、そういう時代だって事はわかってるけど、やめてっていうのがあるよね。何も変わらないものは何も変えられないんだから、そのままにしといてオーケーだよ、僕の想像力をもぎ取らないで・・・っていうのはある。僕、考える生き物だから、思考をストップさせるような事を、そうせっついてしないでくれよってのは時々、手品観ててあるな。でもマジックは信じたい。それは、僕らの人生を美しく豊かにしてくれるからね。僕はそう思ってる」
中村:「いや、僕も想像力の事はいつも考えてますね。もうほんと想像力っていうのが育ちにくい世の中だなっていう。テレビ点けててもそうだし。全てが夢オチで進行していくような(笑)。全てって事はないですけど。そういうのが余りにも多すぎるなと。だからまぁ、スタイルばっかりに走る音楽やってる人の気持ちも、わからないでもないなというのは思いますね。でも僕はやっぱり想像力いっぱい働かせたいし、楽しい事いっぱいやっていきたいなっていつも思ってるんです」

二人の会話とは話が逸れるが、僕が大好きなサッカーの試合をテレビで観ている時、観ているこちらの想像力を全てかき消すような、実況者の主観を全面的に押し付けてくるタイプの実況を聞くと、うんざりしてしまう。
さて上の会話に引き続いて、今度は「孤独」がテーマ。

◆で、お二人ともたぶんそういう心をもち続けているという事が、非常に孤独な事だと思うんですよ、僕は(笑)
佐野:「僕は、大きな仲間、たくさんの仲間の中にいたいというよりかは、スモール・サークル・オブ・フレンズというか。わかり合えるサークルがいて、僕はとりあえずそこに属しているという感覚があれば、どうにかやっていけるよ。僕はね」
◆どうですか、中村君はその辺。
中村:「うーん、孤独・・・うーん・・・まぁ孤独はありますけどね。その、消えない孤独みたいのはあるんですけど、もう相棒みたいなものなんで」
佐野:「いいね。そうそう、そうだよ」
中村:「だからブルース的な曲歌う時もあるしっていう感じですかね。もう、当たり前みたいな感じですよ」
佐野:「あの、孤独っていうとネガティヴな響きのする読者もいるかもしれないけど、孤独はすごーくポジティヴな感情。孤立っていうのは淋しい、でも孤独ってのはいい感情だよ。それが日々僕らを強くしてくれる・・・まぁ強くなる必要があるかどうかの議論は別としてね。音楽の中に孤独があるっていうのはね、僕なんかはそういうテイストの音楽は、感じちゃいますね。『くぅ~!』となって感じちゃう」
中村:「うん」

中村君のコメントがそんなに嬉しかったのか、元春はこの後さらに饒舌になっていく。が、ここでは割愛させていただく(笑)。きっと、ずっと捜していた弟を見つけたような気分なのだろう。

僕も、元春の言うスモール・サークル・オブ・フレンズの感覚は、分かるなぁ。
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by BlueInTheFace | 2005-11-09 00:57 | 音楽