佐野元春×中村一義(1)

最近すっかり中村一義モードに入ってしまった僕は、2001年2月発売の「ROCKIN'ON JAPAN」を本棚から引っ張り出して読み耽ってしまった。この時の表紙は奥田民雄。サブタイトルは「ロックよ、さらに走れ!」。表紙に書いてある他のアーティストの名は、ザ・イエローモンキー、ミッシェル・ガン・エレファント、RIZE。そして最後の行に、対談:佐野元春+中村一義とある。元春と中村君、両方のファンである僕にとってはよだれものの企画だ。

JAPAN熱望対談ここに実現!!
けして時代と寝る事なく時代を包み続けてきた永遠のソウル・サヴァイヴァー・佐野元春と、音楽の神秘の的をド真ん中から射抜き、新たなるロックの地平を切り開いた金字塔男・中村一義。世代を超えて共振するふたつの才能が語り合う、「新世紀・永遠なる神秘・ロック」

この対談の模様を、幾つかピックアップしてここで紹介したい。ちなみに2001年というと、元春は前年にデビュー20周年を迎え、記念行事やらコンピレーションアルバムの発売といった多忙な時期をようやく乗り越えたばかりの頃。一方の中村君は、2000年の9月に、傑作3rdアルバム『ERA』を発売したばかりだ。

記事に起こすとだいぶ長い話になるが、興味のある方はぜひ一読して欲しい。まずはお互いの音楽を聴くきっかけの話から。

◆佐野さんが中村君の音楽を聴くきっかけはどういうものだったんですか?
佐野:「あのー、ミュージシャン、やっぱ独特の嗅覚持っていてね。そして、気になるものを作ってる人の作品には、いずれどこかでこう、会えてしまうんだね。感じる事があった。僕も言葉の音楽家っていう事を随分前から10年かけてやってきたんだけど、やっぱり同じトライをしてる表現の方たちによる新しい発明に出会いたい。で、久しぶりに凄い新しい発明に会えて嬉しいなって気持ちがありました」
◆なるほど。中村君はどうですか?
中村:「僕ですか? 僕は佐野さんのは初期のシングルはずーっと聴いてたんですけど、その時から何か違う感じの曲だなあっていうのは思ってて。いきなりこう、<くだらない大人にはなりたくない>とか出てくるっていうのがもう、グサっときたんですね」

元春が中村君の音楽を聴いていたのはともかく、中村君も元春を聞いていた時期があったのには、意外だなぁと思うと同時に、やっぱりなぁという気もした。これも“嗅覚”が関係してるのか? 次は「グッド・ミュージック」についての二人の話。

佐野:「僕ね、興味のあるのは音とかを感じたり接したりする事で、そのソングライターの身の上調査とかどうでもいいんだ。音楽が発するオーラというか、僕に届いてくるこの感覚って凄くいい感じなんだけど、なんだろう?って。やっぱりそうすると、そこで何が歌われているかっていうのも大事なんだけれども、まずは、もっと感覚的な音の事とか、歌い方とか、言葉が如何に音楽化してるか、メロディーとかね、ハーモニーとか、演奏のちょっとした合間に入るドラムやギターのフィルとか、遠くから聞こえてくるストリングスとかね。そうしたところをね、短い時間に凄く僕は楽しんでる。 (中略) で最終的に1枚(中村君の)アルバムを聴いて僕が感じた事は・・・エンカレッジされる感覚。励まされる感覚かな。もうちょっと明日の事考えていいよっていう、その感覚が彼の響きの中にある。言葉の中にじゃないよ? 響き。彼の歌おうと思う全アティテュードの中にたぶんあるんだと思うんだ。それを僕はね、こういう風に感じる事ができた。それはね、素晴らしい事」
(中略)
中村:「そうですねぇ。うーん、どんなジャンルの音楽にしても、そこにある何かっていうのがいい音楽にはあって、それを見つけるのが好きっていうのはありますね。何かっていうのは言えないけど・・・たぶんソウルフルな何かだと思うんですけど」
佐野:「うん、ソウルだな、ソウル。それを感じるか、感じないか・・・ (以下略)」

若き天才を前にしたせいか、元春が普段よりも饒舌になっている。記事に起こすのが大変だ(笑)。言葉だけではなく音楽そのものの「響き」の中から感じる、ソウルフルな何か。僕が思うに、元春は才能と経験と仲間のサポートによって、中村君は巨大な才能と若き感性によって、この「ソウルフルな何か」を自分の曲に注入する事に成功している。
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by BlueInTheFace | 2005-11-06 20:38 | 音楽