世代交代

先週の20日、職場で二つの別れがありました。いずれのお方も定年退職です。


一人は聾唖の男性で、この方は、健常者の奥さんと二人の息子を抱えて当社一筋40年、不器用な彼は毎日のように上司に怒られながらも、見事に勤めを全うしました。


夕刻、定時を示すチャイムが鳴りました。すると突然、見慣れぬ若い男性が二人、花束を片手にフロアへ入ってきました。その二人とは・・・他ならぬ彼の息子たちです。息子たちは親父の上司に花束を手渡し、親父は、散々怒られ続けたその上司から花束を受け取りました。

そして息子たちが、フロア全体を見渡し、親父に代わって「長い間お世話になりました」と一礼しました。大きな拍手が沸き起こる中、最後は三人揃って職場を後に。僕が窓越しに外の道路に目をやると、息子が運転してきた車の後部座席に親父が乗り込むところが見えました。そしてそのまま、静かに走り去って行ったのでした。

美しい光景を見せてもらいました。長い間本当におつかれさま。さようなら、お元気で。




もう一つは、僕が社会人になってはや17年、公私ともに色々な意味で可愛がってもらった恩師との別れでした。上司と部下の関係を越えた真の濃密な時間を、彼と僕は今までに幾度となく共有してきました。このような関係を築く事が出来たのは、ドライな人間関係を基盤に成立している現代社会にあって、ある意味奇跡に近いのではないかと思ってます。

その恩師を囲んで、仲間内で、ささやかな(かつ盛大な)送別会が行なわれました。時に涙あり、しかし総じて笑いの絶えない温かい送別会となり、それはひとえに彼の人徳がもたらしたものだと思います。

送別会の最中に二人で語らい合った時には色々な想いが込み上げて来ましたが、今はただただお疲れさまの一言です。彼とは今後も家族ぐるみの交流が続くと思いますが、その彼に余計な心配をかけない為にも、僕は今まで以上に頑張らなければと思うのです。少なくとも、そうやって頑張ろうと思う事が、意義のある世代交代の形なのではないかと思えるのです。

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