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腸重積

タイトルの「腸重積」という病名を医者から告げられた時は、何だか狐につままれたような気分だった。


6月18日(木)のお昼頃、弟の稔が「おなかイタイの!」と言って泣き叫ぶ。夜勤中のため家で寝ていた僕は、尋常ではない稔の叫び声を聞いて飛び起き、妻とともに、稔を連れてすぐさま近所の大学病院へと車を走らせた。


簡単な診察の後、レントゲン撮影を経て、下された診断結果が上の「腸重積」という病気だった。その名の通り「腸が積み重なる」という病気で(参照:日本小児外科学界)、治療は緊急を要するため、診断後、即治療開始となった。治療が成功しなかった場合は、腸を切断する手術を施すこともあり得ると医師に告げられた。


診察から治療の間、僕は一緒に病院に連れてきた兄の豊とともに、病院近くの河川敷を散策した。時々病院に戻って様子を窺いつつ、かれこれ2時間は歩いた。稔のことが心配で正直散策どころではなかったが、しかし(状況をまったく理解していない)豊が楽しそうに歩いているおかげで、僕も少しは気が紛れたのだった。


結局治療は成功し、ひとまず手術は回避できた。経過の観察と再発予防のため、稔はそのまま入院。小児病棟の病室に運ばれた稔は、普段のやんちゃぶりはどこへやら、激しい腹痛と長い治療と何度も繰り返した嘔吐のおかげで、憔悴しきった表情をしていた。がんばれ稔。今は苦しいけど、すぐに良くなって家にかえれるぞ。


一日経過して今日(19日)、稔をもう一泊させた後「一時帰宅」させると医師に告げられた。来週早々に血液検査を行い、経過が順調であれば正式に「退院」ということになる。ひとまずはヨカッタ、ヨカッタ・・・。今頃は病院のベッドですやすやと寝ているだろうか。明日には家に帰れる、それまでちゃんと我慢しろよ。



・・・今回の件で、稔を見ていて一番かわいそうだなと思ったのは、病気の痛みもそうだが、豊と離れ離れにならなくちゃいけないという心の痛み。病院の小児病棟内には、健康な子供を連れて入ることができない規則なので、入院中、稔は豊の顔を一切見ることができない。生まれてこのかた、二人が一緒の寝室で寝なかった日は今まで無かった。稔は我々両親に向かって何度も何度も泣き叫ぶのだった。


「ユタカは?ユタカは?ユタカはー!?」


なお、叫ばれている当の豊は、時折淋しそうな表情を浮かべるものの、「天敵」のいない生活を心ゆくまで満喫しているように見えるのだった(笑)